巻頭言
巻頭言
高橋 吉定
1
1順天堂大学医学部皮膚科
pp.175
発行日 1956年2月15日
Published Date 1956/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905871
- 有料閲覧
- 文献概要
わたくしは臨床医である。したがつて基礎医学に対しては,それに直接携わる研究者とは,少しちがつた角度からの希望がある。
わが国でも基礎医学においては,独創的なすぐれた業績がつぎつぎとあらわれ,日本の医学を世界的に推進させていると話してくれた人がある。なるほどそれらの仕事の解説をきくと,りつぱなもののような気もする。しかしそれはしよせん,おいしそうな御馳走を望遠鏡でのぞかせられたようなもので,わたくし自身の身にはならないのである。そんなに極上でなくてもよいから,実際にほおばれるもののほしいというのが,臨床家の真情である。ところが,事実はあまりに遠方に並べられた美味ばかりで,食用としては役にたたず,鑑賞用にしかならないものが大部分である。
Copyright © 1956, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.