特集 New proteins
細胞骨格・筋関連タンパク質
アクチン結合タンパク質
アクチン線維切断タンパク質(actin filament-severing proteins),ゲルゾリンファミリー(gelsolin family)
野々村 禎昭
1
,
桜井 隆
1
Yoshiaki Nonomura
1
,
Takashi Sakurai
1
1東京大学医学部薬理学教室
pp.307
発行日 1990年8月15日
Published Date 1990/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900065
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粘菌から哺乳類にいたるまで多くの真核生物にカルシウム依存性のアクチン線維切断タンパク質が発見されている。これらのタンパク質に共通な性質はアクチン線維の切断,反矢じり端のキャッピング,アクチン重合の核形成促進作用である。G-アクチン(アクチンモノマー)結合部位とF-アクチン(アクチンポリマー)の側面への結合部位の最低二つのアクチン結合部位をもち,これらが協同的に作用することによりアクチン線維のモノマー-モノマー間の結合を弱め切断を行うと考えられている。切断後は生じたアクチン線維断片の反矢じり端(barbedend,fast-growing end,+end)をキャッピングし断片が再結合することを防ぐ。アクチンの重合時にはG-アクチンとの結合の結果生じたアクチンオリゴマーと切断タンパク質の複合体が重合の核となり,重合の初期過程を促進するが,結果的には短いフィラメントを多数生じさせる。一次構造が解析されたgelsolin,villin,fragmin,severinの比較により,これらのタンパク質は共通の祖先から進化して生じたと考えられるアクチン切断タンパク質のファミリーを形成していることが明らかとなった。これらのタンパク質はアミノ酸配列が比較的保存された14~17kDaのsegmentの繰り返しからなっている。
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