特集 New proteins
膜関連タンパク質
細胞接着因子
integrins
高田 義一
1
Yoshikazu Takada
1
1Research Institute of Scripps Clinic
pp.270-272
発行日 1990年8月15日
Published Date 1990/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900048
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インテグリン(integrins)は,細胞外マトリクス―細胞間,または細胞間の相互作用に関与する細胞接着受容体である。細胞の遊走,分化,創傷治癒,発生などに重要な役割を果たす。膜透過タンパク質のヘテロダイマーで,外側の細胞外マトリクスやリガンド(他の細胞表面にある)と,細胞内の細胞骨格系をつなぐ働きをする。ヒトではもともと,1)6種のVLA/β1サブファミリー=ほとんどの細胞表面に発現される,2)白血球接着分子/β2サブファミリー(LFA-1,Mac-1,p150,95)=白血球に限局している,および,3)サイトアドヘシン/β3サブファミリー(ビトロネクチン受容体,血小板gpⅡb/Ⅲa)の三つのサブファミリーからなると考えられていた。各ヘテロダイマーはそれぞれ異なるα鎖(11種ある)と,サブファミリーに共通のβ鎖(それぞれβ1,β2,β3鎖をさす)からなる。各α鎖はそれぞれのβ鎖に特異的に結合してヘテロダイマーを形成すると考えられた。しかし,1)各α鎖がβ鎖とは独立して進化していること,2)新しいβ鎖(β4鎖,β5鎖,β6鎖,βp鎖)が発見されたこと,3)αvβ1,αvβ3,αvβ5またはα6β1,α6β4のように一つのα鎖が異なるβ鎖とヘテロダイマーを作りうることなどがわかったので,上記のインテグリカン分類は急速に崩壊した。
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