連載 ケアと現代・3
日本的援助の土壌—母性社会における援助の現実
岸 良節
1
,
佐藤 俊一
2
,
平野 かよ子
3
1埼玉医科大学短期大学
2東京白十字病院医事課
3日本赤十字看護大学・公衆衛生看護学
pp.250-253
発行日 1992年3月25日
Published Date 1992/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900533
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前2回で取りあげてきた異なることの経験とケアの問題を,今回は援助者のあり方との関係において述べ,一つのまとめとしてみたい。特にここでは日本の社会における援助のあり方が,単に相手のことをすんなり受け入れることができるような錯覚があることへの問題提起である。逆に,援助の場で求められることは,対象者と援助者の個のぶつかり合いながら,両者の個が生かされる関係である。
併せて,日本の社会の場で協調性が語られる中で,援助が誤解され,援助することが自分を守る隠れみのになって,逆に孤立した人間を作りださないためにも,われわれの生きている社会の背景にあるもの(父性・母性の原理)を理解しておくことが必要となる。
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