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あとがき・次号予告
谷口 智也
pp.760
発行日 2020年7月1日
Published Date 2020/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208061
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現在4月上旬,本来であれば桜の季節,入学式,入社式など気持ちも新たに新年度が始まるはずでした.新型コロナウイルスの影響で,毎日のように感染者数の増加が報じられ,国は特措法に基づき「緊急事態宣言」を出しました.そして“コロナ疲れ”なる言葉が使われ,医療機関のみならず,ありとあらゆる方面で混乱が続いています.
過去人類は,スペインかぜ(N1H1),アジアかぜ(N2H2),香港かぜ(H3N2)など多くの目に見えぬ敵と戦ってきました.特に1918年から世界的に流行したスペインかぜは,感染者数が全世界で約6億人,死者数はなんと約5千万人と言われています.日本での患者数は1カ月間で約57万人,このうち約4千4百人が死亡しています.当時の新聞には,「魔のごとく蔓延する悪性感冒」と書かれており,当時の状況(看護婦不足など)や注意喚起(マスクや人との距離など)が,約100年後のいまと非常に酷似しています.しかし,人間の心理や行動にはあまり進歩がなく,SNSなどでの悪質なデマ情報やコロナに便乗した犯罪などにはくれぐれも気をつけていただきたいと思います.さらに,医療従事者への誹謗中傷には心を痛めます.一方,教育現場は休校を余儀なくされ,一部の学校ではオンラインやビデオを用いた授業・実習が行われています.この7月号が出る頃には,新型コロナウイルスによる感染が収束し,過去のものとなっていることを願うばかりです.
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