増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学
IV 血液像
各論
3 造血器腫瘍のWHO分類
6 成熟B細胞腫瘍
東田 修二
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科臨床検査医学
pp.1121-1123
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102595
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1 成熟B細胞腫瘍の分類
成熟B細胞腫瘍には, 表1に示すように種々のB細胞性リンパ腫(リンパ芽球性リンパ腫を除く),骨髄腫,慢性リンパ性白血病などが含まれる.39種の疾患単位からなり,すべてを理解することは困難であるため,日常診療で遭遇する可能性の高い疾患のみを挙げる.腫瘍細胞の形態観察には,慢性リンパ性白血病などでは血液塗抹標本で可能であるが,骨髄腫では骨髄塗抹標本が必要である.多くのリンパ腫症例ではリンパ節生検が行われるが,検体の病理組織標本だけでなく,スタンプ標本も作製することが望ましい.検体(血液,骨髄液,リンパ節などの生検検体の細胞浮遊液)は“BおよびT前駆細胞の腫瘍”の項で記載したのと同様に,フローサイトメトリーと染色体検査も行う.細胞表面抗原の発現パターンや染色体所見は,分類するうえで重要な情報となる.分裂像が得られずに染色体検査ができなかった場合にはFISH(fluorescence in situ hybridization)法などによる遺伝子検査を追加する.濾胞性リンパ腫,マントル細胞リンパ腫,マクログロブリン血症では多数の腫瘍細胞が血液標本でみられる症例があり,細胞形態やフローサイトメトリー所見によって,慢性リンパ性白血病と鑑別する必要がある1).
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