今月の主題 生理検査
総説
臨床筋電図の進歩
渡辺 誠介
1
1千葉大学・附属脳機能研究施設神経内科
pp.403-409
発行日 1980年4月15日
Published Date 1980/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915430
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筋電図が臨床検査に導入されてから30年余りになる.我が国の脳波・筋電図の研究は本川先生,時実先生ほかの優れた指導者によって世界のトップレベルにあり,1981年には京都で第10回国際脳波臨床神経生理学会が開催されることになった.この学会では教育講演や最新の機器によるデモンストレーションも予定されており,検査技師の方々のセクションもあるのが特徴である.学会は自分の仕事が専門的に評価される場であると同時に,自分の視野を広げアイディアを得て更に飛躍する場でもある.国際学会の運営は努めて簡素にしても膨大な費用がかかり,現在の経済情勢からは外部から多額の寄付金を仰ぐことは困難であるので,会員の参加費,醵金を中心にせざるを得ない.会員には少なからざる負担ではあるが,来日を予想されるメンバーを見れば,国内にいながら諸外国の著明な学者に直接話をすることができるまたとない機会である.特に若い方々が多数出席されて,俗な言葉で恐縮だがもとをとってしまうような活気に満ちた学会になることを期待している.
さて筋電図の近年の進歩としては,増幅器の性能向上と小型コンピューターの導入によって,筋活動電位のみならず神経活動電位,誘発脊髄波,誘発脳波,脳運動関連電位と脳波との境界がなくなってきたことと,単一筋線維筋電図というミクロ化されたジャンルが生まれたことが挙げられる.
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