人
卓抜なリーダーシップで今日の病院を築く 秋田市・中通病院長 瀬戸泰士氏
山口 巖
1
,
早川 ミツオ
1青森県立中央病院外科
pp.16
発行日 1976年4月1日
Published Date 1976/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205865
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中通病院20年の歴史は,そのまま瀬戸泰士院長の半生記である.昭和28年東北大学医学部卒,第一外科教室で臨床外科医として開眼するや,「働く人びとの医療」の旗印を秋田の地に掲げたのは若冠26歳の時であった.それから20年,当初数床の診療所は今や医師40余名を擁する340床の大病院に変容している.この奇跡的とも言うべき発展の秘密は,氏によれば「全職員の情熱と,とりわけ自分たちの病院をという働く人びとの情熱」にほかならないという.それは真実であろう。そしてその情熱をはぐくみ実らせたものこそ瀬戸院長の卓抜なリーダーシップであった.発展する集団にとって大衆の熱意と良き指導者とは文字どおり車の両輪であることが教えられる.
瀬戸院長は比類ない洞察力と実行力の持主であるが,特筆すべきは氏の心底に脈打つ天与のヒューマニズムである.中通病院には心臓血管科,脳神経外科,神経内科などが国公立病院にさきがけて開設されており,地域の恩恵は計り知れない.これも氏がそのニードを膚で感じ,人手不足の折に若手医師の内地留学を断行した結果であり,医療を常に患者サイドから眺める氏の姿勢のたまものである.
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