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編集後記
島内
pp.56
発行日 1953年2月1日
Published Date 1953/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200609
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長い御療養の甲斐もなく秩父宮殿下御薨去になり哀悼にたえぬ所であるが,率先平民的であられた殿下の御逸話をうかがうにつけ今更乍ら感慨深いものがある。殊に生前の御遺志によつて病理解剖を御許可になつた事は,一般の病理解剖を促進して我国医学の進歩の上に測り知れぬ好影響をもたらすものと思われ,殿下が身を以て病と鬪われてこの御決心をせられた御心をたいして我々病院関係者も一層の努力を致すべきものと考える。
停電だ,石炭ストだと相変らず暗い冬で,病院は照明や暖房のみでなく電気冷蔵庫・洗濯機・エレベーター・揚水ポンプ・鉄の肺・電気メス・コールシステム等,あらゆる部面で不自由をこうむつた。殊に齒科診療はてんで仕事にならぬ始末であつた。近代病院の近代医療に於ては電気の供給の安定性というものはその設計上の前提条件である事からも,もつと真劍な考慮を要する様だ。
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