特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
6.内分泌疾患
■精巣および性機能障害
【男性不妊症】
78.精液に白血球が多く混じっている病態は妊孕性に影響があるのでしょうか。また,症状がなくとも治療すべきでしょうか。なかなか治らないのですが,どの程度の期間,抗生物質の投与を続けるべきでしょうか。
石川 博通
1
,
宮地 系典
1
1東京歯科大学市川総合病院泌尿器科
pp.282-283
発行日 2005年4月5日
Published Date 2005/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100286
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1 診療の概要
精液中に円形細胞(一応,白血球と考える)が5個/1視野以上認められた場合には膿精液症と診断する。一方,未熟な精細胞も円形細胞であるので,無染色の標本では白血球と見分けることはきわめて困難であり,特にこの細胞の脱落の多い高度精子形成障害例では,射出されたままの精液の所見で膿精液症と確診することは不可能である1)。最終的に2種類の細胞を鑑別するにはギムザ染色などを行う必要があるが,日常の臨床でこれを行うことは難しい2)。
そこで,一般的に精液所見で円形細胞が多く,細菌数も増加している場合に膿精液症と考え,前立腺の触診および尿所見で診断する。すなわち,直腸診で前立腺部に腫脹または圧痛があり,前立腺マッサージ後の尿(VB3)で白血球数10個/1視野以上を認めれば慢性前立腺炎3)が存在し,それが膿精液症の原因になっているものと考える。
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