グラフ
A Case of Pygopagus Twins
永富 敬二
1
1東京大学医学部産婦人科教室
pp.863-866
発行日 1967年11月10日
Published Date 1967/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203789
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胎児および新生児奇型の中で重複奇型ことに対称性の型はきわめてまれなものである。一般に癒合の部位を頭にして—pagusをつけて呼ばれるが,これから報告するのはPygo—pagusの1例である。分類および成因論については成書を参照されたい。文献的にはかなり古くより,内外に散見される。有名な劔状突起癒合のSiamnese兄弟,本症例と同じBlazek姉妹等高年令まで癒合状態のままで生存した,まれなcaseもあるが大部分は妊娠中に流早産することが多く,満期で分娩しえた場合も生存能力弱く早期に死亡する場合が多いようである。分娩前に診断されるcaseはまれであるがX線写真でいつも同じ胎位を示す場合はまず疑つてよいという人もいる.分娩経過も満期産であれば当然,難産が予想され,現代のように帝王切開術が普及する以前は母児共に死亡し,人目にふれずに葬りさられたcaseも想像されよう。
外科学ことに小児外科の進歩はすぐれた抗生物質の出現と共に当然,生存例に対して,可能な限り分離切断術を試みさせるようになつた。これまで世界で成功例として頭部、胸部,腰部,坐骨癒合体全部で18例,本邦では昭和2年白井(名古屋大)の例以来3例ときわめて少ない。
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