視座
Information Explosionに思う
三浦 幸雄
1
1東京医科大学整形外科
pp.237
発行日 1989年3月25日
Published Date 1989/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908042
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最近数十年,わが国の遂げた物質的飛躍には著しいものがあり,ついに世界の経済大国になった.この影響は各方面に及んでいる.しからば,学術,研究の面ではいかがなものであろうか,我々臨床医学に携わるものから見ると,大学からの研究費は平行スライドで少しも増額されていない.研究費が足らない,或いは実績に対する研究費給付という実態はあまり変っていないように思われる.研究は,本来,真に独創性に富むものであれば,短期間では成果が上がらないものでも与えられなければならないように思う.近視眼的な思考はあまり戴けない.しかし研究費が足らないからという弁解めいた口実は,独創的研究が生れないということに使うにはかなり不合理な面をもっていると言える.
日本の医学界から発表される研究成果は,その研究者,あるいは業績発表の数に比して独創性のあるものが少ないのではないか,という批判もある.その根拠はやや不明確であるがこの意見には謙虚に耳を傾けなくてはならないと思う.
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