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編集後記
K. N.
pp.922
発行日 2013年9月15日
Published Date 2013/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102566
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本号の構成をみると,改めて精神医学の幅広さに気付かされる。「展望」では,統合失調症のゲノム研究の最近の動向について,GWASに関する最近の研究成果から,今後の方向性として,次世代シークエンサーを用いて,ますます膨大なゲノムデータを用いて解析が進められることが紹介されている。一方,オピニオンでは,“精神科医にとっての精神療法の意味”というテーマで,さまざまな立場の精神療法家が精神療法について語っている。さらに,ミニレビューでは,“計算論的精神医学の可能性”というタイトルで,予測誤差最小化メカニズムの異常と神経回路の機能的断裂について,統合失調症をはじめとするさまざまな精神神経疾患の神経モデルとして,神経ロボティクスを用いた実証的な研究デザインが紹介されている。いずれの領域も精神医学において重要な領域である。ただし,これらは,おそらく学生時代に教わることはないだろう。卒業後でもどうだろうか。
上記3つのテーマのうち,最も臨床に近いのは,オピニオンでのテーマだろうか。その中で,最近の若手精神科医が生物学的精神医学に偏りすぎて,精神療法を十分学んでいないとの嘆きが感じられる。果たしてそうか。
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