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はじめに
近代緩和ケアは1967年にシシリー・ソンダースらが聖クリストファー・ホスピスを創設したことに始まるとされる。しかし,ホスピス施設ではすべてのがん患者に緩和ケアを提供できないため,1975年に米国の聖ルーク病院がホスピス病棟外で活動するモバイルチームを設置し,1976年に英国の聖トマス病院で同様の緩和ケアチームが発足した。これらの活動が緩和ケアチームの始まりとされている4,7)。その後,ホスピスなどの施設外で行う緩和ケア専門家によるコンサルテーションチームが各国に広がり,2000年には米国を中心に,87か国,6,560チームが存在すると報告されている6)。緩和ケアチームのがん患者の症状緩和に対する有用性も検討されており,症状緩和,満足度の向上に効果があることが示されている5,6)。
日本国内では1990年代頃より緩和ケアチーム活動が独自の取り組みとして一部の病院で行われるようになり,2002年には緩和ケア診療加算として診療報酬が認められるようになった。2006年に厚生労働省から出されたがん診療連携拠点病院の整備に関する指針で,一般病棟において緩和医療を提供できる体制を整備することと明記されたこと,2007年4月に施行されたがん対策基本法などを追い風に,国内では急速に緩和ケアチームの配置が進んでいる。一方で,どのように緩和ケアチームを立ち上げるのか,どのように運営するのが望ましいのか,チームのスタッフはそれぞれどのような役割を担うのかなどについての指針はなく,各地の緩和ケアチームが模索しているのが現状である9)。
このような背景の中,国立がんセンター東病院支持療法チームは,各地のがん診療連携拠点病院の緩和ケアチームの運営に関する情報交換,先進的なチームの紹介を目的として「緩和ケアチームのための講習会」を2007年3月10日に開催した。本稿では,「緩和ケアチームのための講習会」の開催報告と合わせて,参加した緩和ケアチームの実情,精神科医に望まれることを考察する。
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