今月の主題 腎疾患—早期診断から管理まで
腎不全
急性腎不全—治療と予後
小林 快三
1
,
小栗 正光
2
Kaizo Kobayashi
1
,
Masamitsu Oguri
2
1稲沢市民病院・内科
2稲沢市民病院・腎センター
pp.438-439
発行日 1984年3月10日
Published Date 1984/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218939
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急性腎不全の治療に対して,透析療法を使用しなかった時代には,①発症期,②乏尿期,③利尿期,④回復期という臨床経過をたどる.その時期々々に応じた原因,保存対症療法を行って,利尿のつくのをひたすらに待つといった受身の治療であった.しかし1960年代より透析療法の普及してくるにつれ,第一線の医師にとって,容易にその導入が決定されることより,急性腎不全(以下ARFと略す)の治療にたいする考え方に大きな変化をもたらした.しかしARFの病態の,早期発見と治療時期の開始がおくれれば,現在でもその死亡率は高くなることから,的確な病態の判断と,それに対する治療が予後を大きく左右することになる.そのためには,ARFの治療において,一般原則的な原因療法,保存療法を,上述の①,②の時期において,最善の処置をほどこしながら,積極療法としての透析療法導入の時期を早期に判断し,実行に移すことが最大のポイントである.
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