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編集後記
根本 哲生
1
1昭和医科大学横浜市北部病院臨床病理診断科
pp.333
発行日 2026年3月25日
Published Date 2026/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.053621800610030333
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先日,食道色素研究会のため鹿児島を訪れた.私が鹿児島といってまず連想するのは,当地出身の消化管外科の第一人者であり,本号でも多くの論文に引用されている「西の分類」の西満正先生のことである.偶然にもこの編集後記という宿題を携えての鹿児島訪問となったのだが,西先生にはご縁あって,生前親しく声をかけていただく機会があった.開業医の倅であった私が,病理学教室へ入局すると知ると,ご自身も病理に造詣の深い先生は,「病理は小学校の過程よりは難しい,だから少なくとも(小学校と同じ)6年はしっかりやったらよい」とおっしゃった.先生は文学や音楽に通じており,自らピアノを弾いて朗々と歌われた「荒城の月」のなんと魅力的だったこと! フランス料理店で銘醸ワインのリストなどには目もくれず,ウイスキーの水割りで通しておられたのは,今考えてもカッコよいものだ.
西の分類は,「接合部から上下2cmを接合部癌」「上下1cmを境界部癌」とシンプルで直感的に一刀両断されているように思えるが,実はそれらは噴門腺や括約筋の分布という解剖学・組織学の知識に基づいて決められているというところが重要である.理論に裏付けられた豪胆さは,優れた外科医の手術にも通じるものがあろう.

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