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編集後記
中島 寛隆
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1がん研究会有明病院健診センター
pp.119
発行日 2025年1月25日
Published Date 2025/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.053621800600010119
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本邦ではH. pylori(HP)既感染例(慢性非活動性胃炎)とHP未感染例が胃炎の多くを占める時代が到来し,これまで臨床的に目立たなかった自己免疫性胃炎(AIG)が顕在化している.その一方で,NHPH胃炎などHP以外の感染性胃炎の増加,新規導入薬剤による胃炎や全身性疾患・びまん性消化管疾患の胃病変も“HP胃炎とAIG”以外の胃炎(特殊胃炎)として新たにクローズアップされてきた.これらの多彩な特殊胃炎には,特徴的な組織像を示し病理学的に確定ないし強い示唆が得られる病態と,非特異的組織像を示すことから確定診断が困難な病態の双方が存在する.そこで今回,“HP胃炎とAIG”以外の胃炎について最新知見をまとめて掲載した.
本特集号は,序説1編,主題1編,症例アトラス18編,ノート1編の構成である.序説の蔵原論文は,「『胃炎の京都分類』以降の胃炎・胃症診断」のタイトルで,H. pylori感染胃炎とAIGを除く胃炎・胃症に注目した理由を述べ,本号が“なぜこの胃炎・胃症はこの内視鏡像が得られるのか”という組織構築の理解に基づく内視鏡診断の確立を目指したことを示した.これに続く唯一の主題である九嶋論文は,胃炎・胃症の病理診断では臨床情報と内視鏡所見を踏まえ,生検部位における正常組織像との対比を考慮した丁寧な病理所見の観察が重要と述べている.特に論文中の「Fig.21胃炎・胃症の生検病理診断フローチャート」は本号のエキスを凝縮した図表であり,病理医のみならず臨床医も常に意識していただきたい.
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